歯科業界では金属を使用しない治療法=メタルフリー、ノンメタル治療が注目されています。
歯科の保険治療では多くの場合、一般的に“銀の詰めもの”や“銀のかぶせもの”と呼ばれている金銀パラジウム合金が使用されています。しかし、そういった金属を使用るする治療は見た目の非審美性、歯茎への影響、金属アレルギー発症の可能性等、様々な悪影響を引き起こしていると言われています。
前述のことから世界では金属を使用した治療からメタルーフリー治療へ加速的に移行されています。国内でもこれまで、全面的には推奨されていなかったのですが、メディア等に取り上げられた事を機に、徐々にメタルフリー治療への移行が推奨されはじめてきております。
以前は金属を使用せざるをえない治療が当たり前でしたが、歯科用CAD/CAM等の急速な技術の発達のおかげで、金属を使用しない治療が可能となってきております。
当院も患者さんの意向を確認しながら、ご希望の方にはメタルフリー治療をご提案しております。
何故、メタルフリー治療が推奨されているのか?Why is recommended
金属アレルギーの現状
現在、国内では予備軍を含めると、なんと1000万人もの方が金属アレルギーになっているといわれています。そして歯科治療が金属アレルギーを引き起こす重大なリスクがあると言われています。理由は考えられるのは差し歯やブリッジ、かぶせ物で使用されている金属が、口の中で溶け出し、体に溶け込まれているといわれています。
金属アレルギーの症状
金属アレルギーの症状は、口内炎や歯肉炎、手や足の甲に水泡状に出る皮膚炎、金属が触れている口の中に頬や舌が赤くなったり、白くなったりする炎症、ひどい場合全身に炎症もでます。そして腎炎、喘息、過敏性肺炎、偽アトピー性皮膚炎、扁平苔癬、そして掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、被せもの・差し歯のきわの歯茎が黒くなる(特に前歯)等、様々な炎症を引き起こします。症状は軽い方から重症の方もいます。
治療で使用されている金属
保険適応
金銀パラジウム合金
保険治療で最も多く使用される金属です。
ニッケルクロム合金
金銀パラジウム合金よりもアレルギーリスクが高いと言われている金属です。
銀合金
乳歯の治療、神経を取った歯の土台に使用されるやわらかい金属です。溶け出しで歯茎を黒く変色させます。銀自体はアレルギー原因になりにくいのですが、合金に含まれるほか金属が引き起こします。
アマルガム
水銀を用いる金属です。有機水銀のような毒性はありませんが、アレルギーをおこしやすいと言われています。
最近ではほとんど使用されていませんが、過去の治療で施術されている方はたくさんいます。
自費治療
金合金 /白金加金、チタン
保険治療で使用されている金属に比べると錆びにくく、溶け出しや歯茎の変色等のリスクは低い金属です。
メタルフリー治療 = 金属を使用しない治療について
保険について
メタルフリーの歯科治療に関しては多くの場合、一部保険で認められている治療もございますが、多くの場合自費(保険外)治療となります。
昨今では技術の発達もあり、自費治療では比較的どのような方でも治療が受けやすい価格帯になってきております。このように従来の高額なイメージの自費治療まで費用的に負担がない自費治療をプチ自費治療といいます。
メタルフリーの歯科治療
セラミック
詰め物、被せもの、ブリッジなど現在はセラミック治療の開発が進歩したおかげで、ほとんどの治療がセラミックで行うことが出来るようになりました。見た目も綺麗で自然な色合いです。黄色く変色したりもしません。歯茎との相性もよく歯茎が黒くなる事もありません。
レジン
保険治療対象でプラスチックです。詰め物などの小範囲の虫歯に使用する事が殆どです。年数が経過すると汚れが目立つ上、縮むので歯との間に隙間できるのではずれやすくなります。表面もザラザラしているので、口臭の原因にもなります。
・ハイブリッド
レジンの欠点を補う為にセラミックが含有されている混合物となります。価格は安いのですが、レジンと同様、年数が経つと、汚れが目立ってしまい、隙間もできてしまいます。
ジルコニア(オールセラミック)
セラミックは審美性が高いのですが、強度は不足する欠点があります。つまりブリッジなどには不向きだったのですが、歯科用CAD/CAMの発達でジルコニアが実用化されたおかげでどのような症例でもメタルフリーの治療が可能となります。ジルコニアは金属よりも強く、軽さもあります。金属の使用は一切ない為、金属アレルギーの心配なく、とても美しい歯を作る事ができます。
※歯科用CAD/CAMとは
ComputerDesign/Computer Aided Manufacturingの略でコンピューター支援設計/コンピューター支援製作技術のことを言います。
この技術を利用することで、セラミックによる精密で強度の高い歯の修復物が製作できるようになりました。
ファイバーポスト、ファイバーコア
虫歯による崩壊の著しいときに歯の心棒に用います。虫歯による崩壊が激しい際に歯の心棒として使用いたします。金属の心棒と比べても柔軟性があり、歯の根っこが割れたりしません。
金属の心棒と比べて柔軟性があるため、歯の根っこが割れたりしにくいので非常に有益性の高い材料です。
金属アレルギーについて
金属アレルギーは酷い場合、重症となります。歯の金属は長い間にわたって溶け、体の中に吸収されています。
金属イオンが遊離し、全身的影響が生じている可能性があるという事も言われるようになってきました。
アレルゲンとして全身に作用し、種々の病態をひき起こす可能性が高いとも考えられてきています。
金属アレルギーの一例
- 掌蹠膿疱症
- 肌のシミ・しわ 肌荒れ
- 関節炎・関節痛
- アトピー性皮膚炎等
- 被せもの・差し歯のきわの歯茎が黒くなる(特に前歯)
今は金属アレルギーでなくとも、将来的にそのリスクを抱えている可能性が高いのが、金属使用による歯科治療です。先ずは現状を知り、できる限り自分の歯で過ごせるように虫歯、歯周病の予防をおこない、虫歯になってもなるべくセラミックによる治療をオススメいたします。
補足
上記は歯科用金属が原因のひとつの可能性も高いと言われてますが、断定的ではありません。