自宅で簡単にできる口腔ケアには、毎日行う歯磨きがなじみ深いものですね。
実はいつもの歯磨きに一工夫加えるだけで、よりお口の中がすっきりする方法があります。
また口腔ケアは口の中だけでなく、外側の部分にも目を向ける必要があります。
私たちが食後にいつも行う歯磨きは、歯ブラシで歯を磨くほか、歯茎のマッサージやポケットに入った汚れ落としなどの役割をします。
しかし高齢者の口腔ケアはこの他に口内清拭と粘膜ケア、いわゆる口磨きもすることが望ましいです。
口腔内の汚れは歯だけに付くわけではなく、頬の内側の粘膜や唇と歯茎の間などにも付着しますが、この部分はブラッシングだけでは落とせません。
そのため、口腔ケア用スポンジブラシを歯ブラシの他に持っていることが勧められます。
口腔ケア用ブラシは市販されていますが、なければ歯ブラシに清潔なガーゼを巻いたものでも代用できます。
やり方は、ブラシ部分に水をひたし、ティッシュなどで含んだ水分が垂れないように吸い取ります。
これを歯と頬の間、舌の下部、口腔内上部の口蓋の順に、優しく手早く拭き取っていきます。
最後に舌の表面の舌苔を軽く落とし、これで口腔の汚れ落としは完了です。
ところで、高齢者の口腔ケアは内部の清潔だけでなく、外側の部分の機能にも注目する必要があります。
実は口腔ケアには清潔維持だけでなく、口腔機能を保つための機能的ケアもあります。
これは物を噛んだり飲み込んだりする力をできる限り維持していくトレーニングで、誤嚥性肺炎といった高齢者特有の病気の予防にもなります。
さらに物を噛むことは脳に神経伝達信号を送ると関連付けられ、認知症予防の効果にも期待されています。
具体的に行えるのは口腔マッサージや嚥下体操などです。
マッサージには氷水を使うアイスマッサージがあり、綿棒に氷水をつけて上あごと舌を10回ずつ程度刺激します。
また嚥下体操は食事の前に行うのが効果的、ただし種類が大変多いので、被介助者の体調に合わせた内容のものを行うことが勧められます。
かかりつけの歯科医、または担当の介護職スタッフなど、専門家の力を借りましょう。
ポイントは続けられること、そのためにも本人の無理のないプログラムで行うのがベターです。
自宅で行える口腔ケアは2種類、口内清潔維持と機能トレーニングです。
口腔内の清潔は歯磨きの他に口磨きも大切、また機能的トレーニングには口腔マッサージや嚥下体操などを習慣つけましょう。